Since : 10-Jul-2020
そらをみるネコ@ててぺろ Homepage picture












REACH 認可物質に指定されたら・・

Published: 02-Mar-2025

§1. 使用しているケミカルが、ほんとに使用禁止になるの?

 こちら、生産者サイドでのお話となります。社会・自然環境が、日々目まぐるしく変化していく中で、いつも使っているケミカルが人の健康、環境の保護の観点から使用禁止・使用制限されることは本当にあるのです。結構あります。

 当然、生産できなくなるので、いろんな人の経済面に影響はでてしまいますが、レギュレーションとして制定されていくものですので、違反すれば罰則が待ってます。そのため対象物質のパブコメ(パブリックコメントの略。一般の方や企業などから意見を募る)が実施され始める頃から情報が出始めるので、関係するところでの使用状況を調査、規制の施行が濃厚となってきたら代替物質への切替検討を実施していきます。ただし実際の施行となると、やはり市場への影響が大きいケミカルほど予定より遅れていく傾向にありますね。

 

 

§2. DEHP(DOP)のとき

 DEHP(DOP)ですが、こちら塩ビ(ポリ塩化ビニル)の可塑剤として非常に優秀なケミカルでフタル酸エステル系の化学物質となります。可塑剤って聞きなじみのない方もいらっしゃると思いますが、材料に柔軟性を与え、加工しやすくするために加えるもの(オイル等)を可塑剤といいます。

 ててぺろは比較的極性の高いポリマー/エラストマーにはこのDEHP(DOP)で基本構成を整えていく配合設計をよくしており、耐寒性がよく、表面への滲みが少なく、なんといってもコスパ最強。心強い相棒でした。

 ところが2008年にREACHのパブコメ入りと連絡があり、さらに2014年 第12次のSVHC 候補リストに記載となり、2020年から認可対象物質となり、実質使用不可となっていきました。

 認可対象物質が閾値(許容される濃度限界)0.1%以上混入していると製品自体がNG判定になりますので、他製品へのコンタミ(混入)を避けるためにも自社工場内だけでなく、川上企業(化学品、素材産業)から、川中企業(部品、加工業界)そして川下企業(組立、最終製品)というサプライチェーン全体で使用禁止になります。

 

§3. 対応について 

 ててぺろの状況としては客先様と調整しながら、2013年にはすべて対応済みとなりました。ててぺろの業界では単純置き換えできる代替品の検討・対応でしたが、実際には業界、用途によって異なっていたと思います。医療関係の方は特に可塑剤自体の使用リスクから検討されたのではないでしょうか。DEHP(DOP)について健康・環境リスク低減へのアプローチとしては以下かな。

  

 A)無くす -> 可塑剤を不使用(レギュレーション対応:〇)

 B)減らす -> 可塑剤を減量(レギュレーション対応:×)

 C)変える・置換える -> 可塑剤の健康・環境リスクを減らす(レギュレーション対応:△~〇)

 

 レギュレーションへの対応が必要なので、B)は無し。ててぺろの業界はC)方策。そして主な代替品は以下。

 

・DINP / フタル酸エステル系。使用制限あり

・DINCH / BASF社様製 Hexamoll® DINCH®です。(DINPのベンゼン環を水素化)

・アジピン酸エステル系 各種あり。

・TOTM / トリメリット酸系エステル

 

 DINP使用制限(子供により口に入れる可能性がある玩具及び育児用品に使用禁止)ありです。十分注意くださいね。DEHP(DOP)のコスパもさることながら、主用途である軟質塩ビ(軟質ポリ塩化ビニル)についても非常にコスパがいいので、ケミカルエンジニア・生産側としての本対応についてはコスト面、こちらが一番のハードルとなったのではないでしょうか。 

 

§4. 代替物質の、さらに代替物質の・・

 次々と規制は増えていくので、その都度見直しをしていくことになります。レギュレーションに対しては常に100点満点を要求されますが、コスト面でも及第点でないと会社としては成立していかないのです。

 近年、川上企業(化学品、素材産業)様の事業再編が本当に多く、経営的な側面から統廃合され亡くなっていく化学物質が本当に多いです。環境規制以外の要因でも代替物質を検討・変更していく必要があるのに、そんな環境下で次々と規制は増えていくので、常にアンテナを伸ばしてケミカル業界の情報を集める必要がありますね。

 ほんと、安心は出来ないですよね。

§5. DEHP(DOP)の安全性について

 DEHP(DOP)の安全性でなのですが、長期にわたり幅広い分野で使用し続けてきているのですが、健康被害のニュースとか、このREACH規制で騒がれるまでは特に見聞きしたことないので実際はどうなのかな?? とは思ってます。

 ECHAの見解としては生殖毒性(Toxic to Reproduction)、内分泌かく乱物質(Endocrine Disrupting)とのことです。

 厚生労働省のウェブサイトに日本のパブリックコメントの記載があったので、リンクを貼っておきます。 厚生労働省のパブコメ

 皆様の健康、それを取り巻く環境がやはり最重要ですので、ててぺろはケミカルエンジニアとして、アンテナを張り続けていきますね。 

よろ。

ではでは。

 

今、アンテナで情報集めてます。ふむふむ




Facebook

Facebook様でシェア

X様でシェア





 関連記事 





コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA





error: Content is protected !!